初日の出を八ヶ岳山頂から見ました(2018年1月1日)
そして2018年赤岳から初日の出を見ることにしました。 八ヶ岳山荘前駐車場に到着したのは2017年12月31日20時頃です。
到着した頃は曇りでGPVで観ても八ヶ岳上空は紫色に染まっています。
また道中、標高1300m付近から道路は雪でした。。
しかし、大晦日だというのにこの時間では一度も観たこと無い数の車がいました。
過去の登山時間から計算して午前1時にアタック開始しました。
南沢から行者小屋を目指す
出発する頃にはまだ雲が流れていましたが次第に星がクリアに見えるようになってきました。
手元のスントでは外気温は-5℃で、普段は砂利道の林道も積雪により凍っています。
南沢ルートでは勢いよく流れている沢もこのようにカチンコチンに凍っています。
いかに山の寒さが厳しいかがわかります。
標高が2000mを超えてくると樹氷も目立つようになってきました。
そして午前2時半に行者小屋に到着しました。
行者小屋前での待機
YAMAPの標準タイムでは行者小屋から地蔵尾根の分岐点までは1時間30分、そこから山頂までは40分となっています。
2018年1月1日の日の出は6時46分だったので、標準タイムで進んでも1時間半以上は山頂で待機しないといけません。
すでに行者小屋から赤岳付近の強風が音で伝わってきますし、足の感覚はなくなり始めているので山頂付近での待機は命取りです。
まずは冷え切った体を温めようと積もった雪を溶かしてお湯をわかし、うどんを食べることにしました。
しかしながら、風よけがなく、容器はステンレス、かつ標高が高いために沸騰までに時間がかかり、思いの外体が冷えてしまいました。
すかさずホッカイロを取り出し、服のポケットに入れました。
ちなみに行者小屋はテントが結構立っていて、御来光か初登山を狙っていたみたいです。
行者小屋前には約50分ほど居て、寒さが限界だったところで地蔵尾根のアタックを決めました。
地獄の地蔵尾根
午前4時頃、地蔵尾根に入りました。
地蔵尾根の難しさは急勾配です。
階段が滑り落ちる方向に傾いているので慎重に進まなくてはなりません。
今回は積雪で階段も見えづらく、夜なのでとりわけ慎重さが必要になります。
人のトレースはありませんでしたが、幸いにも動物がコース途中までトレースをつけていたので道迷いすること無く登ることができました。
こちらも下山時に撮影した樹氷ですが2400mを超えているので更に綺麗に見えます。
とにかくここのルートで気をつけたことは標準タイムよりいかに遅く登り、かつ、体温を上げていくかということでした。
ただ、下から登山者が来ているので追い越しなどで相手を危ない目に合わせるわけにもいきません。
結局、それなりのペースで登ることにします。
またネックウォーマーをつけて呼吸しづらくすることで体温を上げました。
それでも寒さで手の指先は痛くなり左右交代しながらポケットハンドで暖を取りました。
それでも手の指先は痛くなり、なんどかポケットハンドしながら登っていた。
難関と思っていた階段をクリアしましたが、その先は積もりたての雪が20~30cmあったのでラッセルしながら進むことになります。
その上、親切なのでアイゼンが噛まず進みにくいです。
それでもなんとか登り、地蔵尾根の分岐点に到着しました。
目指す山頂。諦めと希望の夜明け
分岐点に着くと東側の地上がナトリウム灯に照らされているのがわかります。
寒い中の灯火はたとえ人工物であっても心が安らぎました。
ただ、稜線だけあって風は一層強くより寒さが増していました。
ガクガク震えながら歩みます。
昨年11月に登ったときは赤岳天望荘は冬季閉鎖中でしたが、この時は明かりがついていました。
年越し用に開けているのかもしれません。
10分でも良いから、玄関でも良いから入れて欲しいと思ったほどここは極寒の地でした。
どこからどう見ても凍りついています。
既に足首から下が寒さで曲がらず、指先を曲げようと思っても感覚がないので動けません。
やむなく重心をつま先から土踏まずに変えて赤岳最後の急勾配へと向かいます。
一歩、また一歩、足が雪にめり込む度に下山しようかと思いました。
山頂を目前にして登頂を諦めるのは客観的に見ればもったいないとこれまではよく思っていました。
しかしながら、当の本人になってみてわかったのはとにかく「早く降りて温まりたい」ということだけでした。
そのためなら山頂がすぐそこにあっても下りる方を優先してしまいそうになります。
そんな中東の空を見ると夜明けが始まっていました。
そして初日の出
山頂までの急勾配は強風と寒さの闘いで時間が思ったよりかかりました。
凍てつく中で起動しなかったデジカメも山荘を目前にして動くようになりました。
しかしながら氷点下のためiPhoneは電源が落ちています。
手元の時計で時刻は6時40分。ちょうど良いタイミングで登頂できました。
日の出まで後6分です。
気温は氷点下15℃。体感温度は更に低いと思います。
寒さで痙攣を起こしている脚と腕を抑えつつ、カメラを構えます。
登頂したころには既に3人の登頂者がいました。
中岳との稜線に出る文三郎から来たようです。
そこには南沢で頼りにしたトレースをつけ、行者小屋でお互い別れた人もいて「お疲れ様です」と声をかけあう姿も見られました。
撮影時には気づかなかったもののよく見れば他の登山者も顔面が凍っています。
そして私も。 結局このネックウォーマーは駐車場で着替えるまで凍りついていました。
そして予定から2分遅れの6時48分ごろ、赤岳を取り巻くガスの向こうに太陽が昇ってきました。
なんとも綺麗な光なんでしょう。
この瞬間、登頂した誰もが無意識に感嘆をあげていました。
ガスが太陽の紅い光を反射し、それはそれは幻想的に見えるではありませんか。
そして、念願の富士山とのコラボです。
気温はまだ寒いですがこの光景を見てから段々と暖かく感じるようになりました。
ちなみに間近でみるモルゲンロートはまさに赤岳というこの山名にぴったりの姿でした。
凍てつく中岳へのルートです。
朝日に浮かび上がる赤岳山荘です。
すぐにガスに飲まれるため、晴れる度にシャッターを押します。
そして押すたびにまたとない姿になってくれる自然です。
しかし、指が動かないためシャッターを押すのも一苦労でした。
そしていい感じに撮れたところで山を後にします。
下山
赤岳を後にした瞬間にまたガスに飲み込まれてしまいました。
登ってくる登山者を待ちつつ少しずつ標高を下げていきます。
ガスに霞む富士山です。
高度を下げると視界がひらけていきます。
赤岳へと続く稜線です。本当に厳冬期なんですね。
地蔵尾根につくと暗くて見えなかったお地蔵さんも凍っているのがわかります。
分岐点直下の鎖場は傾斜がきついです。
改めて木々も凍らせる自然の脅威に脱帽しました。
更に標高を落とすと行者小屋が見えてきます。
深夜よりだいぶ晴れてきたみたいです。
そして行者小屋に到着しました。青空も顔を覗かせ、周りの木々はクリスマスツリーのようです。
だんだんと指先の感覚が戻ってきましたが、足の指を曲げようとすると曲がりにくいです。
そんな足を引きずって、 やっと戻ってきました。
長かった山行でした。そして登って良かったと思える山行でした。
八ヶ岳山荘に駐車場代を支払い、コーヒーをごちそうになります。
本当に温かいです、生きていてよかったと思えました。
246から帰る予定でしたが、 御殿場についたころに車の横転事故で東名が封鎖されました。
VICSにもない大渋滞の246を諦め箱根から帰ることにしました。
ですが、箱根も結局渋滞により家に着いたのは15時過ぎでした。