日帰りと車で早月尾根から剱岳に登る-6/日本百名山-

名前(なまえ) 剱岳(つるぎだけ)
エリア 富山県
標高 2999m
三角点 四等三角点
登ったコース 早月尾根
距離 14.6km(往復)
標準タイム 12時間05分(6:35/5:30)
自己タイム 10時間41分
日帰り
登頂回数 3
889 516 296*75

北アルプス最難関の山

剱岳富山県上市町立山町に位置する北アルプス屈指の山です。

隣には観光客でにぎやかな立山があり、立山連峰を構成する一座です。

岩と雪の殿堂と呼ばれるほどその山容は険しい一方、日本三大雪渓や氷河が現存する貴重な山でもあります。

古くから山岳信仰の対象とされ登ることすら恐れられていました。

人を寄せ付けない山でしたが明治時代に三角点設置のため陸軍の柴崎芳太郎らが登頂しました(生田信らの方が早いとされていますが公式記録では柴田氏です)。

この話は点の記という小説となり香川照之らによる映画にもなりました(ちなみ香川氏演じる宇治長次郎は現在も長次郎谷の名で剱岳を見守っています)。

人類初の登頂と思われましたがはるか太古に修験者が登頂していたようで、山頂で錫杖の頭が見つかっているのは有名な話です。

登山の一般ルートでは立山から登るルートと今回紹介する早月尾根から登るルートがありますがどちらも距離は長く、険しいため一般ルートでは最難関の山の一つです。

森林限界ライチョウの生息地

国の天然記念物であるライチョウはサービスエリアなどで雷鳥の卵などでお土産にされていますが、ここ剱岳ライチョウの生息地となっています。

絶対見られる保障はありませんが曇りの日などはよく見られます。

下の写真は山頂直下の岩場にいたところを撮影したものです。

登頂時には居なかったのですが急に出てきました。

主にハイマツを餌にしていると言われていますがあまり詳しいことは分かっていません。

ライチョウはカラフルな方がオス、地味な方がメスで下の写真は番です。

冬と夏で模様が変わり、冬は真っ白になることから周りの環境に溶け込むように衣替えが行われているようです。

ライチョウは人前ではあまり飛ばず、登山道を進むことから登山者の間では山頂直下のガイドとして有名です。

 

TJARで登る最初の山

TJARはトランスジャパンアルプスレースの略で2年に一度富山湾から静岡県の大浜海岸まで約400kmを8日間で駆け抜けるレースの1つです。

コースは主に北アルプス中央アルプス南アルプスを通過します。

その最初の山として通過するのがここ剱岳であり、早月尾根です。

8日間にもなる最初の山が難関の剱岳というのは実に面白いです。

 

コース紹介

登山口から早月小屋

早月尾根の登山口は馬場島(ばんばじま)です。

馬場島はキャンプ場があり、深山にあるものの開けています。

馬場島山荘を横目に奥に向かうと左手に早月尾根登山口があります。

そこには下記のような有名な石碑があります。

「試練と憧れです」

これは私が好きな言葉なのですが、石碑にも注目してください。

憧れよりも試練が先で、憧れよりも試練が上に来ています。

自分としては、「誰もがこの山に魅せられて来るが、試練が先に来るほど辛い道のりだから注意して行きなさい」と言っているのではないかと考察しています。

 

いよいよ取り付きです。

登山口は標高750mから始まり山頂までは延々と登りが続きます。

登山開始直後も急な階段をいきなり登り標高を稼ぎます。

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階段を登ると一度平らな道を歩みます。

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そして標高1000mほどになります。

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このように看板がありますが途中から標高が200mほど変わるのであまり信用しないほうが良いです。

 

この看板あたりは早月小屋までの間で唯一剱岳側の視界が開けているポイントで剱岳が見えます。

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この後はひたすら登りの階段になります。また階段以外には木の根を登ることになります。

水分は多めに持っていったほうが良いです。

 

剱岳立山杉が自生している森でもありこのように大きな杉を見ることができます。

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標高1400mもしないところでは後ろを振り返ると富山湾を望むことができます。

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標高を稼ぐと6月でも残雪が残っています。ほとんどの残雪が斜面かつ登山道上にできているので通行には注意しましょう。

軽アイゼンまたはアイゼンを装着したほうが良いです。

 

剱岳には落石などもありますので歩行時には注意してください。

 

 

しばらく登ると視界が開けて早月小屋が見えてきます。これは6月なので残雪がありますが、

 

8月にもなれば雪は溶けて緑の世界になります。

 

早月小屋から山頂

早月尾根小屋を後にするとここからは急登と緩やかな登りの繰り返しになります。

緩やかな登りと

 

急な登りです。

 

 

こんな壁も出てきますが三点支持がしっかりできれば問題ありません。

 

更にクリアするとまたロープ場になります。

 

早月小屋を超えると核心部に入るので急登や岩場が多くなります。

場合によってはクライミングスキルが必要になりますのでもし無理だと思った場合は撤退する勇気も大切です。

そして森林限界に達して岩の山になってきます。

 

この標高になると進路の右隣には立山が見えます。

 

たまに振り返ると富山湾を一望できます。

 

ここまで来ると後一息ですが特に注意しないと行けないのが山頂直下の岩場です。

ほとんど鎖場になります。

また浮石や岩が脆いので落石を発生させやすくなります。

渋滞の場所でもあることから人が多くなり始める場所ですので、落石を発生させた場合は叫んでください。

 

ここを登ると立山方向と山頂と早月尾根の三叉路になります。

左下の赤い家が早月小屋です。さらにその左上にあるのが馬場島です。

 

そして登頂しました。

 

剱岳は難易度が高いですが人気の山であるため特に立山から来る人が多くシーズン中の山頂は大変混雑します。

特に祠前での撮影待ちが多いので順番を待ちましょう。

祠から少し離れたところでは三等三角点があります。

これは明治に埋められたものではなく2004年にヘリで運ばれて設置されたものです。

 

山頂からは晴れた日には雄山を見ることができます。

 

また、その向こう側には槍ヶ岳

 

南東側には富士山

 

 

下山

来た道を戻るだけになります。

遠いですが頑張りましょう!!

 

 

その他

カニのタテバイ・カニのヨコバイとは何ぞや

剱岳の名を口にすると合わせてよく聞くのがカニのヨコバイ、カニのヨコバイです。

これは立山方向から来て戻る時に必ず通過する岩場の難所があるのですがそのポイント名をこう呼んでます。

ヨコバイとタテバイと2つ名前があるのはそれぞれが剱岳下山時、登頂時とルートが別になっているからです

 

カニのヨコバイ

剱岳から立山方向に行くのに使うのがカニのヨコバイです。

その名の通り壁をヨコバイで通っていきます。

鎖場になっていて手は鎖、足は岩の隙間に入れて横移動するのですが、

最初は鎖よりも高い位置から降りてくるのでその時に足を入れる場所が見えなくて恐怖感を覚えます。

カニのヨコバイの取り付き

 

カニのヨコバイの最初部分です。

カニのタテバイ

立山から剱岳方面に来る時に使うのがカニのタテバイです。

名前の通り壁を縦方向に登攀します。

 

鎖場ですが足場があまりなく打たれた杭を踏んでいきます。

シーズンは必ず渋滞になります。

 

こちらはカニのタテバイの途中から撮った下方向の写真です。

幸いにもこの時はガスだったのですが晴れた日の高度感は凄いと思います。

平蔵の頭

実は立山方面から剱岳に向かうとき、またはその逆、つまりカニのヨコバイの先、カニのタテバイの前にはもう一つ難所があります。

それが平蔵の頭と呼ばれる岩場です。

畳のように平らな岩を登っていく・降りていく鎖場です。

晴れた日の高度感は凄く、剱岳山頂からも見えます。

下の画像では横に2列人がいると思いますが、立山に向かう時は向かって右側を、剱岳に向かう時は向かって左側のルートを取ります。

高度感が凄いですよね。

 

オオクワガタ

剱岳は自然の宝庫ですが私もびっくりしたのがこちらです。

なんと下山時にオオクワガタを見つけました。

木にとまっていたわけではなく地面を歩いていたのですが、天然物を見たのは初めてだったのでこんなのが居るんだと驚きました。

 

夕日

自分の山行の場合は剱岳を降りてくるのは夕方に近いのですが、運がいいとこのような夕日を見ることができます。

日本海ならではの光景で、無事に降りてきてよかったと思わせてくれるワンシーンです。

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最後に、剱岳に登ったのは2017年が最後です。

これ以降は別の百名山を登るために剱岳はお休みしています。

参考ですが馬場島から剣山荘までは1日あれば帰ってくることができます。

カロリーがすごいですね!

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私は剱岳で鍛えられたのでまたいつか登りたいと思います。

 

ご安全に。