2階にLANコンセントが無くても工事無しで1階からLANを引く方法
私の実家は2020年で築23年なのですが、今となっては当たり前のインターネットが普及していなかったので元々どの部屋にもLANのコンセントはありませんでした。
よくデスクトップPCを使う1階ダイニングには光回線を通すにあたって壁に穴を開けてもらったのですが私の部屋は2階にあるためそのままでは有線LANは使えません。
有線LANの穴あけ工事をしようにも4万円程度掛かってしまい、また、いずれ実家を出ることを考えていたため他の方法を模索していました。
そんなときに家庭の電気コンセントを使った通信方法を見つけ結果的に5000円程度で有線LANを2階に引く方法を見つけたので紹介します。
ポイント
- 工事しなくても有線LANは引ける
- ブレーカーを見て引きたい部屋とルータのある部屋の相が一緒であることが重要
- ルータから直接引くより通信速度は落ちるが気にしない程度である
- たまに通信が止まることがある
1階にしかルータがないけど2階でデスクトップを使いたい
1階にルータがあるけど2階にLANコンセントが無くて困っている
家の造りやどこにLANを引くかによって変わってくるのですが大体2階建ての戸建てやテラスハウスに住んでいる方はどこかの部屋に1箇所、外から光回線を引っ張るケーブルを差すモデムを置いているかと思います。
また、そのモデムの隣にルータを置いて更にその先にPCをつないでいる方が多いのではないでしょうか?
もしWifiしか使っていないという方でしたらこの記事はここで終了です。
私の実家の場合、下記の図のようになっています。
元々、インターネットが普及していない時代に建てた家で、光回線導入を決めた数年前にダイニングの壁に穴を開けてそこに光回線を差し込むという工事をしました。
マンションや賃貸物件の方はエアコンのダクト用の穴から出ているご家庭も多いと思います。
ノートPCならWifiでなんとかなりますが、デスクトップPCを持っていて2階で使いたい場合は2階に有線LANを引いてくる必要があります。
2階にLANコンセントを設置する工事をするのに約4万ほどかかる
2階にLANコンセントが無いとなると考えられるのは1階から壁伝いにケーブルを引っ張ってくるかLANコンセントをつける工事をするかのどちらかが多いと思います。
壁伝いにケーブルを引っ張ってくるというのは可能ですが、これではドアが閉まらないためプライバシーを気にする必要があります。
となると、もう一つ考えられるのは2階の部屋にLANコンセントを敷設するという方法です。
しかし、これをやるのに工事費は約4万円かかります。
初めてインターネット回線を引くときにも工事費用として約2~3万円、もし壁に光回線用の穴をあけるとなると更に3万円ほどかかるので、LANコンセントの敷設までで約10万も掛かってしまいます。これは家計に苦しい出費です。
そこで他に安くて簡単な方法が電力線搬送通信というものです。
電力線搬送通信(PLC)を使って約5000円で2階に有線LANを引く
電力線搬送通信とは
電力線搬送通信とは家庭の電気を使ってインターネット通信をする方法です。
家庭の電気とういのは掃除機とかする際に差す100Vのコンセントのことです。
家庭の電気は1秒間に50・60回(それぞれ東日本・西日本)電気を波のように送ることで電気を送っています。
対して、インターネットのデータも波の形で送って取り出すことで通信できます。
なので家庭の電気とインターネット通信は相性が良いです。
この家庭の電気(交流周波数)にインターネットのデータを乗せて送り、また、家庭の電気から取り出すことで通信を可能にする技術のことを電力線搬送通信といいます。
電力線搬送通信には専用の機器を用意しないといけない
この電力線搬送通信ですが、インターネットのデータを電気に乗せる必要と、電気から取り出す必要で機器を用意する必要があります。
その台数についてですが、インターネットはWEBサイトの場合、「これが見たい」という依頼を出して、インターネットからそのページ情報をもらいます。
すなわちパソコン側で電気を乗せる・取り出す機器と、ルータ側で電気を乗せる・取り出す機器の2台1セットが必要です。
機器は色々と種類がありますが、例えば下記の場合、始めから2台1セットで約5000円ほどです。
なのでこれを買うだけで2階にLANを引くことができます。
TP-Link PLCアダプター TL-PA4010 KIT 有線LAN コンセント LAN 2台 キット 総務省指定
- 発売日: 2017/06/14
- メディア: Personal Computers
【重要】電力線搬送通信を実現するには機器を差し込むコンセントが同じグループでないと駄目
電力線搬送通信は非常に簡単です。ルータから引っ張ってきたLANケーブルを電力線搬送通信用の機器に挿入し、その機器をコンセントに差します。
パソコン側でもパソコンから引っ張ってきたLANケーブルを電力線搬送通信の機器に挿入し、その機器をコンセントに差します。
しかしながら、どのコンセントでも通信できるかというそうではありません。
親機(ルータ側)と子機(パソコン側)のコンセントが同じ「相」でなければいけません
どういうことかといいますと、家のブレーカーを見てください(たいてい、風呂場にあると思います)。
家を流れる電気はどれも100Vで差すだけなので全部通じているように見えますが、それは違います。
実は電気には相(そう)と呼ばれるグループがあり、ブレーカーの上側と下側で相が異なります。
この相が別の場合、家の中ではコンセント同士繋がっていないのです。
例えば下の写真では例えば3番のリビングに流れる電気と、2番のD・K(ダイニング・キッチン)に流れる電気はコンセント内部でつながっていません。
これを簡単にイラストにすると下の図のようになります。
電力線搬送通信をするにはルータが置いてある部屋のコンセントとパソコン側のコンセントが同じ相であることが条件ですので導入前に確認してください。
今回の場合、下の画像のようにルータ側のダイニング(D・K)とパソコン側の(洋室(1)・洋室(2))は同じ相なので電力線搬送通信をすることができます。
電力線搬送通信: 親機の設置方法
親機・子機設置方法は非常に簡単で、差すだけです。接続した後にパソコンの画面で何か設定する必要はありませんのご安心ください。
設置方法
- PLCにLANケーブルを指す
- そのLANケーブルのもう一端をルータに差す
- PLCを最寄りのコンセントに接続する
下の図はPLCにLANケーブルの一端を差し、コンセントに差した状態です。
そして下の写真はもう一旦のLANケーブルをルータに差した状態です。
ルータに刺さっている灰色のプラグが今回PLCとルータにつないだLANケーブルです。
ちなみに水色のLANケーブルはパソコンにつながっています。
電力線搬送通信: 子機の設置方法
- PLCにLANケーブルを差してコンセントに接続する
- LANケーブルのもう一端をパソコンに繋げる
こちらは2階にある私の部屋のパソコン近くのコンセントです。
もう一端はパソコンに繋がっています。
回線速度テスト
電力線搬送通信によるとどのくらいの回線速度が出るのかをテストしてみました。
ダイニングのPC
ダイニングのPCはルータと直接LANケーブルで接続されています。
速度は18.62MB/secでした。
電力線搬送通信で繋いだ自分の部屋のPC
回線は3.59MB/secでした。
実家の場合、直接LANケーブルを差すのに比べて電力線搬送通信による回線速度は約1/4でした。
相対的にはかなり遅くなりますが、この速度でも動画などはサクサク見られるので絶対的には十分です。
【注意】他の家電の使用によっては通信が停止することがある
電力線搬送通信は非常に簡単で安価で便利ですが、家庭の電気を使用するため電気の使用状況によっては通信が止まってしまう場合があります。
一般的に2階にLANケーブルを引くことを考えると大規模な費用と工事が必要と考えがちですが、実はちょっとの費用で簡単にできてしまうものです。
技術としても面白いですし、家を壊さないという意味でも良いと思います。